この記事の目次(6項目)
  1. 監理技術者補佐とは:法第26条第3項の「職務を補佐する者」
  2. 条件は2つ:主任技術者の要件と1級建築技士補
  3. 建築一式は指定建設業:「1級一次合格から3年」は使えない
  4. 専任で置く意味:監理技術者は2現場まで
  5. 本人にとっての意味:経審の加点と1級第二次検定
  6. 次の一歩:要件を満たす人を洗い出し、1級一次に向かわせる

監理技術者補佐とは:法第26条第3項の「職務を補佐する者」

建設業法の条文に「監理技術者補佐」という言葉はありません。法第26条第3項は、公共性のある施設や多数の人が利用する施設の重要な工事で、主任技術者・監理技術者を現場ごとに専任とすることを求めています。そのうえで、監理技術者の職務を補佐する者として政令で定める者を専任で置く場合は、監理技術者の専任を要しないと定めています。この補佐者を実務で監理技術者補佐と呼んでいます。

建築一式工事で監理技術者が必要になるのは、特定建設業者が発注者から直接請け負い、下請契約の総額が8,000万円以上になる場合です。大型の建築現場ほど監理技術者が必要になり、その監理技術者を複数の現場で兼任させる手段が、補佐を専任で置く仕組みです。補佐になる人は監理技術者の職務を支える立場で、自分が監理技術者になるわけではありません。

条件は2つ:主任技術者の要件と1級建築技士補

補佐になれる人は施行令第29条で決まっています。第1号は「法第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者のうち」、監理技術者の職務に係る基礎的な知識及び能力を有すると認められる者です。具体的には、建設工事の種類に応じ国土交通大臣が定める要件に該当する者とされています。前半の「法第7条第2号イ・ロ・ハ」が主任技術者の要件、後半の「大臣が定める要件」に当たるのが1級技士補です。第2号は大臣が同等以上と認定した者です。

法第7条第2号のイは指定学科を修めた学歴と実務経験、ロは「十年以上実務の経験を有する者」です。ハは大臣がイ・ロと同等以上と認定した者で、1級・2級の施工管理技士や建築士などの資格者が当たります。関東地方整備局の資料は「一級技士補の資格を有するだけでは『監理技術者を補佐する資格を有する者』にはならないため、主任技術者要件も満たす必要があります」と明記しています。

条件建築での内容根拠
主任技術者の要件(ア)一級施工管理技士・一級建築士・技術士(イ)二級施工管理技士・二級建築士など(ウ)指定学科卒で大卒3年・高卒5年、または実務10年建設業法第7条第2号、施行令第29条第1号、関東地整資料
1級建築技士補1級建築施工管理技術検定 第一次検定の合格者施行令第29条第1号(大臣が定める要件)
(エ)一級一次合格後3年建築一式は指定建設業のため使えない関東地整資料
置き方工事現場に専任で置く法第26条第3項
効果監理技術者が現場ごとの専任義務から外れ、2現場まで兼任法第26条第4項、施行令第30条
経審主任技術者の要件を満たす場合に監理技術者補佐としてコード005・4点関東地整資料

建築一式は指定建設業:「1級一次合格から3年」は使えない

資料には主任技術者の要件として(エ)「検定種目に係る一級の第一次検定又は第二次検定に合格し、その後3年以上の実務経験」も載っています。ただし、指定建設業(土木一式・建築一式・舗装・鋼構造物・管・電気・造園)と電気通信工事業では(エ)は使えず、引き続き(ウ)の実務経験が必要です。建築一式で補佐を置くなら、(ア)(イ)の資格か、(ウ)の指定学科卒+実務経験・実務10年で要件を満たす人を選びます。

建築会社で現実的なのは、2級建築施工管理技士(第二次検定合格)か2級建築士を持つ人が1級の第一次検定に合格する組み合わせです。1級建築士を持つ人も、第一次検定を受けて1級建築技士補になれば(ア)で要件を満たします。1級建築士に第一次検定の免除はないため、受検は必要です。

専任で置く意味:監理技術者は2現場まで

法第26条第3項のただし書きで監理技術者の専任が外れるのは、補佐を専任で置く場合です。第4項は、監理技術者が受け持つ現場の数が政令で定める数を超えると、この例外を使えないとしています。施行令第30条はその数を「二とする」と定めており、監理技術者1人が見られるのは2現場までです。補佐のほうは専任なので、別の現場と掛け持ちはできません。

会社としては、監理技術者1人に補佐2人を付けて2現場を回す形が基本です。補佐の人数が足りなければ、監理技術者を別に置くしかありません。建築一式で専任が必要になる請負金額は9,000万円以上(令和7年改正後の施行令)で、この金額以上の現場を同時に複数持つ会社ほど、補佐になれる人の確保が配置計画に直結します。

本人にとっての意味:経審の加点と1級第二次検定

監理技術者補佐に該当すると、経営事項審査の技術職員数(Z1)では有資格区分コード005・4点で評価されます(令和3年4月1日から)。ここでも条件は同じで、1級技士補であって主任技術者の要件を満たす場合に限られます。2級技士補には区分がありません。点数の見え方は、当サイトの経審シミュレーターで区分ごとの人数を入れて確かめられます。P点(総合評定値)は計算しません。

本人の資格にもつながります。国土交通省の受検資格の資料では、1級第二次検定は1級一次合格後に「監理技術者補佐としての実務経験1年以上」でも受検できます。実務経験5年以上、特定実務経験(建築一式7,000万円以上)1年以上を含む3年以上と並ぶ3つ目のルートです。補佐として現場に出た1年が、そのまま第二次検定の受検資格になります。

次の一歩:要件を満たす人を洗い出し、1級一次に向かわせる

まず社内で、主任技術者の要件を満たしている人(2級建築施工管理技士・2級建築士・1級建築士・指定学科卒+実務経験・実務10年)を一覧にします。次に、その人が1級の第一次検定に合格しているかを確認します。両方そろって初めて監理技術者補佐です。要件はあるが1級一次に受かっていない人には、10問診断(登録不要・応用能力3問を含む)で足切りのリスクを確かめてもらってください。問題はオリジナルで一次資料へのリンク付き、外部の監修は受けていません。受検資格の判定ツールで第二次検定までの道筋も整理できます。

1級建築技士補になったばかりの若手は監理技術者補佐になれますか?

主任技術者の要件を満たしていなければなれません。建築一式では「1級一次合格から3年」の区分は使えないため、2級建築施工管理技士などの資格か、指定学科卒+実務経験・実務10年が必要です。

監理技術者補佐は何現場まで掛け持ちできますか?

補佐は専任で置く必要があり、掛け持ちはできません。兼任できるのは監理技術者のほうで、施行令第30条により2現場までです。

監理技術者補佐の経験は1級第二次検定の受検資格になりますか?

なります。1級一次合格後に監理技術者補佐としての実務経験1年以上があれば、1級第二次検定を受検できます(国土交通省の受検資格資料)。