この記事の目次(5項目)
  1. No.1〜5はどんな問題か:5問とも必須で飛ばせない
  2. 土の2問:乾燥密度の式と締固め曲線の読み方
  3. 構造力学の2問:片持ちばりと軸方向応力
  4. 水理の1問:オリフィスの流出速度
  5. 電卓は使えない:手計算の練習順と2級との違い

No.1〜5はどんな問題か:5問とも必須で飛ばせない

1級土木一次の午前は問題Aと呼ばれ、No.1〜66のうち35問を解答します。令和8年度の問題用紙の注意事項では、No.1〜5の5問が必須で、全問を解答するよう指示されています。No.6以降は区分ごとに選べますが、この5問だけは苦手でも避けられません。

受検の手引の検定科目でいえば「土木工学等」の基礎にあたる部分で、土質・構造力学・水理の3分野から出ます。令和8年度は、土の湿潤密度と乾燥密度の式、締固め曲線、片持ちばりの曲げモーメント、部材の軸方向応力、オリフィスからの流出速度の5題でした。

1級一次No.1〜5の題材の一覧表。土の構成は乾燥密度の式、締固めは締固め曲線の頂点、構造力学は片持ちばりの曲げモーメントと軸方向応力、水理はオリフィスの流出速度の式を使う
図:令和8年度のNo.1〜5の題材と、それぞれで使う式・つまずきやすい点(タップで拡大)

図のとおり、5題とも使う式は1つか2つです。現場で毎日使う知識ではないため、現場経験が長い人ほど後回しにしがちですが、式さえ書ければ短時間で点になります。逆に、5問を全部落とすと残り65問で42問を取る必要があり、選択問題の余裕が一気になくなります。

土の2問:乾燥密度の式と締固め曲線の読み方

湿潤密度ρtは「土全体の質量÷体積」、乾燥密度ρdは「土粒子だけの質量÷体積」です。含水比w(%)を使うと、ρd=ρt÷(1+w/100)で結ばれます。例題として、湿潤密度1.80g/cm³、含水比20%の土なら、ρd=1.80÷1.20=1.50g/cm³です。wを%のまま足してしまうミスが多いので、小数に直してから計算してください。

締固め曲線は、横軸に含水比、縦軸に乾燥密度をとった山形のグラフです。山の頂点が最大乾燥密度ρdmaxで、そのときの含水比が最適含水比woptです。現場の締固め度は、ρd÷ρdmax×100で求めます。例題として、ρdmaxが1.60g/cm³の土で現場の乾燥密度が1.50g/cm³なら、締固め度は約93.8%です。軸の取り違えを避けるため、グラフを見たら最初に縦軸と横軸の名前を確認してください。

構造力学の2問:片持ちばりと軸方向応力

令和8年度は、一端を固定し他端を自由にした片持ちばりの、固定端の曲げモーメントを求める題材でした。2級でよく見る単純ばりは中央で曲げモーメントが最大ですが、片持ちばりは固定端で最大になり、自由端では0です。

片持ちばりの2つの例題の図。等分布荷重2kN/m・長さ4mでは固定端の曲げモーメントが16kN·m、先端に集中荷重10kN・長さ3mでは30kN·mになり、曲げモーメント図は固定端が最大で自由端が0
図:片持ちばりの曲げモーメントは固定端で最大。等分布荷重と集中荷重の例題(タップで拡大)

図のとおり、全長に等分布荷重wがかかる場合は M=wL²/2、先端に集中荷重Pがかかる場合は M=PL です。等分布荷重は「荷重の合計wLが、はりの中央(固定端からL/2)にかかる」と考えれば、式を忘れても組み立て直せます。軸方向応力は σ=N/A で、軸力Nを断面積Aで割ります。例題として、N=100kN、A=2,000mm²なら、100,000N÷2,000mm²=50N/mm²です。kNをNに直す1,000倍を忘れないことと、部材を比べる問題では「軸力が大きく断面積が小さいほど応力は大きい」と押さえることが要点です。

水理の1問:オリフィスの流出速度

水槽の側面にあけた小さな穴(オリフィス)から出る水の速さは、理論上 v=√(2gh)です。ベルヌーイの定理から導かれる式で、hは水面から穴の中心までの深さ、gは重力加速度(9.8m/s²)です。実際の流速は、これに1より小さい流速係数を掛けて求めます。

例題として、水面から穴の中心まで5mなら、v=√(2×9.8×5)=√98で、約9.9m/sです。電卓がないので、9.9²=98.01のように近い数の2乗で見当をつけます。hが4倍になると流速は2倍になる、という関係も選択肢の判断に使えます。

問題分野題材(令和8年度)使う式例題(この記事の数値)
1問目土質湿潤密度と乾燥密度ρd=ρt÷(1+w/100)1.80÷1.20=1.50g/cm³
2問目土質締固め曲線締固め度=ρd÷ρdmax×1001.50÷1.60×100≒93.8%
3問目構造力学片持ちばりの曲げモーメントM=wL²/2、M=PL2×4²÷2=16kN·m
4問目構造力学部材の軸方向応力σ=N/A100,000N÷2,000mm²=50N/mm²
5問目水理オリフィスの流出速度v=√(2gh)√98≒9.9m/s

電卓は使えない:手計算の練習順と2級との違い

受検の手引では、試験中に机の上に置けるのは受検票、鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム、時計だけで、電卓等は使用できません。計算機能のある時計も使えません。問題用紙の注意事項では、試験問題の余白を計算等に使ってよいとされているので、筆算で割り切る練習をしておきます。

練習は「式を書く→単位をそろえる→図を描く」の順で進めます。2級のNo.1〜5(飽和度・均等係数・単純ばり・連続の式)を学んだ人は、片持ちばりとオリフィスの2つを足せば土台がそろいます。自分の基礎の弱さを先に知りたい人は、10問診断(登録不要)(/quick/session)で分野ごとの手応えを確かめ、無料登録の20問診断で分野別の正答率と弱点を出してから、残りの時間を配分してください。

No.1〜5の題材は毎年同じですか?

同じとは限りません。令和8年度は上の5題でしたが、翌年度の題材は公表されるまで分かりません。土質・構造力学・水理の基本式を押さえておけば、題材が入れ替わっても対応できます。

計算が苦手なら、No.1〜5は捨ててもいいですか?

必須問題なので解答は求められます。全部落とすと、残り65問で42問以上が必要になります。式を1つ覚えれば取れる問題が多いので、捨てる前に式の暗記から試してください。

試験問題はどこで確認できますか?

全国建設研修センターの試験問題・正答肢の公表ページ(https://www.jctc.jp/mondai/)で確認できます。当サイトでは問題文を転載せず、題材と使う式だけを整理しています。