この記事の目次(6項目)
No.1〜5は「土木工学の基礎」で、式を知っていれば解ける
2級土木一次のNo.1〜5は全問解答の必須問題で、土の性質・はりの力学・水理の基礎が出ます。令和8年度前期の公開問題では、土の飽和度の定義式、粒径加積曲線と均等係数、単純ばりの曲げモーメント図、てこのつり合い、管路の流速の5題でした。いずれも教科書の定義式を知っていれば解ける問題で、現場経験は要りません。
この記事では、5つの式を自前の例題で説明します。例題の数値はこの記事のオリジナルで、試験問題の転載ではありません。本番の問題と正答肢は全国建設研修センターの公開ページで確認してください。
土の飽和度:Sr=w·Gs/e
土は土粒子・水・空気の3つでできています。間げき比 e は「間げきの体積÷土粒子の体積」、含水比 w は「水の質量÷土粒子の質量」、土粒子の比重 Gs は「土粒子の密度÷水の密度」です。飽和度 Sr は「水の体積÷間げきの体積」で、間げきが水で満たされた割合を百分率で表します。
この4つは Sr×e=w×Gs の関係で結ばれています。例題として、含水比20%(w=0.20)、土粒子の比重2.65、間げき比0.80の土を考えます。Sr=0.20×2.65÷0.80=0.6625 なので、飽和度は約66%です。式の形で問われたら、分子が w と Gs、分母が e と覚えてください。
均等係数:Uc=D60/D10
粒径加積曲線は、横軸に粒径(対数)、縦軸に通過質量百分率をとったグラフです。D10 は通過質量百分率10%にあたる粒径、D60 は60%にあたる粒径で、均等係数 Uc はこの2つの比 D60/D10 です。例題として D60=0.60mm、D10=0.05mm なら、Uc=0.60÷0.05=12 になります。
Uc が大きいほど粒径の幅が広く、曲線はなだらかになります。粒径の幅が広い土は締固めしやすく、「粒度分布がよい」と表現されます。逆に曲線が急に立ち上がる土は粒径がそろっていて、Uc は小さくなります。試験では「なだらか=粒径の幅が広い=Uc 大」の組合せを入れ替えた選択肢が出るので、この3点をセットで覚えてください。
単純ばりの曲げモーメントとモーメントのつり合い
両端を支えた単純ばりの中央に集中荷重 P がかかると、最大曲げモーメントは中央で M=PL/4 です。例題として P=20kN、スパン L=6m なら、M=20×6÷4=30kN·m になります。曲げモーメント図は中央が頂点の三角形になります。
全長に等分布荷重 w がかかる場合は、最大曲げモーメントは中央で M=wL²/8 です。例題として w=4kN/m、L=6m なら、M=4×36÷8=18kN·m です。このときの曲げモーメント図は放物線で、やはり中央が最大です。令和8年度前期は等分布荷重の曲げモーメント図を選ぶ出題だったので、図の形(三角形か放物線か)も合わせて覚えてください。
つり合いの式は P1×a=P2×b です。支点を中心に回ろうとする力の大きさがモーメントで、「力×支点からの距離」で計算します。てこやシーソーがつり合うとき、支点の左右でモーメントが等しくなります。例題として、支点から右2mに60kNの荷重 P2、支点から左3mに荷重 P1 を置いてつり合わせるなら、P1×3=60×2 で P1=40kN です。
距離は「支点から力の作用線までの垂直距離」です。荷重が支点の片側に2つあるときは、同じ側のモーメントを足し合わせてから反対側と等しくします。はりの反力を求める問題も、片方の支点を中心にモーメントのつり合いをとれば解けます。
連続の式:Q=A1v1=A2v2
管路を流れる水の流量 Q は「断面積 A×流速 v」で、定常流では途中で水が増減しないため、どの断面でも Q は同じです。これが連続の式 A1v1=A2v2 で、断面が細くなるほど流速が速くなります。円管の断面積は直径 d の2乗に比例するので、直径が半分になれば断面積は4分の1、流速は4倍です。
例題として、直径0.4mの管(流速2.0m/s)が直径0.2mに細くなる場合を考えます。断面積の比は(0.4÷0.2)²=4 なので、細い側の流速は 2.0×4=8.0m/s です。流量は 0.4²×π÷4×2.0≒0.25m³/s で、どちらの断面でも同じです。
| 題材 | 式 | 例題の答え(この記事の数値) |
|---|---|---|
| 土の飽和度 | Sr=w·Gs/e | w=0.20、Gs=2.65、e=0.80 → 約66% |
| 均等係数 | Uc=D60/D10 | D60=0.60mm、D10=0.05mm → 12 |
| 曲げモーメント(中央集中荷重) | M=PL/4 | P=20kN、L=6m → 30kN·m |
| 曲げモーメント(等分布荷重) | M=wL²/8 | w=4kN/m、L=6m → 18kN·m |
| モーメントのつり合い | P1×a=P2×b | 60kN×2m=P1×3m → 40kN |
| 連続の式 | A1v1=A2v2 | 直径0.4m→0.2m、2.0m/s → 8.0m/s |
電卓は使えない。手計算で割り切る練習を
2級の受検の手引では、試験中に机の上に置いてよいものは「受検票」「鉛筆又はシャープペンシル」「消しゴム」「時計」だけとされ、電卓等は使用できません。時計も計算機能・辞書機能・通信機能のあるものは使えません。計算は問題用紙の余白で手計算することになります。
上の例題のように、式を書いてから数値を入れる順番を守れば、計算量は多くありません。分数のまま約分する、2乗は先に計算するなど、筆算の型を決めておくと取りこぼしが減ります。10問診断(登録不要)では必須分野から1問ずつ出るので、この分野の定着度を確かめてから次に進んでください。
No.1〜5は毎年同じ題材が出ますか?
令和8年度前期は飽和度・均等係数・曲げモーメント図・つり合い・管路の流速でした。年度ごとの題材は全国建設研修センターの公開問題で確認してください。式の定義を押さえておけば、題材が入れ替わっても対応できます。
単位はどこまで気にすればいいですか?
曲げモーメントは kN·m、流量は m³/s、流速は m/s です。直径が cm や mm で与えられたら、計算の前に m にそろえると間違えにくくなります。
式は覚えたのに図の問題が苦手です。どう覚えればいいですか?
曲げモーメント図は、集中荷重なら三角形、等分布荷重なら放物線で、どちらも単純ばりでは中央が最大です。粒径加積曲線は「なだらか=粒径の幅が広い=Uc大」のセットで覚えると、図を見ても迷いません。