この記事の目次(7項目)
応用能力で建設機械はどう出るか
応用能力は問題BのNo.21〜35で、15問中9問以上が足切りの基準です。令和8年度の公開問題では、No.22が建設機械、No.28〜29が車両系建設機械と移動式クレーンの災害防止でした。形式は「適当なものの数はいくつか」「適当なもののみを全てあげている組合せ」が中心で、4つの記述を一つずつ正誤判定する力が要ります。
建設機械の問題は、機械の選定(作業内容と地盤に合う機種、運搬距離と機械の組合せ)と、法令にもとづく災害防止の2系統です。災害防止は労働安全衛生規則(安衛則)とクレーン等安全規則(クレーン則)の文言どおりに覚えていないと、1つの記述の正誤で数を間違えます。
車両系建設機械:作業前に決めること
安衛則第154条では、車両系建設機械で作業するとき、転落や地山の崩壊を防ぐため、あらかじめ作業場所の地形・地質の状態を調査し、結果を記録します。第155条では、その調査にもとづいて作業計画を定め、計画どおりに作業します。作業計画に示す事項は、使用する機械の種類と能力、運行経路、作業の方法の3つで、定めたら運行経路と作業方法を関係労働者に周知します。
第156条の制限速度は、最高速度が毎時10km以下の機械を除いて、地形や地質に応じた制限速度を事業者が定める仕組みです。「毎時10kmを超えてはならない」という一律の数値ではありません。第157条では、路肩の崩壊防止・地盤の不同沈下防止・必要な幅員の保持を運行経路で講じ、路肩や傾斜地で転倒のおそれがあれば誘導者を配置します。
接触防止・合図・運転席を離れるとき
第158条は接触の防止で、運転中の機械に接触するおそれのある箇所への立入りを禁止します。ただし、誘導者を配置して誘導させる場合は立入禁止の措置を求められません。第159条では、誘導者を置くときは一定の合図を定めて誘導者に行わせ、運転者はその合図に従います。「立入禁止か誘導者か」の関係を逆に覚えると、記述の正誤を取り違えます。
第160条は運転位置を離れるときの措置で、バケットやジッパーなどの作業装置を地上に下ろし、原動機を止めて走行ブレーキをかけるなど逸走を防ぎます。第164条は主たる用途以外の使用の制限で、パワーショベルによる荷のつり上げやクラムシェルによる労働者の昇降は原則禁止です。つり上げが例外として認められるのは、作業の性質上やむを得ないか安全上必要な場合です。さらに、十分な強度と外れ止めのあるフック等を取り付けることが条件になります。
点検の周期と資格区分を数字で固める
車両系建設機械の定期自主検査は、第167条で1年以内ごとに1回、第168条で1月以内ごとに1回です。1月ごとの検査項目は制動装置・クラッチ・操作装置・作業装置の異常、ワイヤロープとチェーンの損傷、バケット等の損傷です。第170条では、その日の作業を始める前にブレーキとクラッチの機能を点検します。移動式クレーンも同じ構造で、クレーン則第76条が1年以内、第77条が1月以内、第78条が作業開始前の点検です。
資格区分は労働安全衛生法第61条の就業制限が根拠です。安衛令第20条第12号で機体重量3t以上の車両系建設機械の運転は技能講習修了者等に限られ、3t未満は安衛則第36条第9号の特別教育です。移動式クレーンは安衛令第20条第7号でつり上げ荷重1t以上が就業制限の対象です。クレーン則第68条により、1t以上5t未満は小型移動式クレーン運転技能講習、5t以上は移動式クレーン運転士免許が要ります。1t未満は安衛則第36条第16号の特別教育です。
| 項目 | 数値・内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 制限速度の除外 | 最高速度 毎時10km以下の機械 | 安衛則第156条 |
| 定期自主検査(車両系) | 1年以内ごとに1回/1月以内ごとに1回 | 第167条/第168条 |
| 作業開始前点検(車両系) | ブレーキ・クラッチの機能 | 第170条 |
| 定期自主検査(移動式クレーン) | 1年以内ごとに1回/1月以内ごとに1回 | クレーン則第76条/第77条 |
| 作業開始前点検(移動式クレーン) | 巻過防止装置・警報装置・ブレーキ・クラッチ・コントローラー | 第78条 |
| 車両系建設機械の運転資格 | 機体重量3t以上 技能講習/3t未満 特別教育 | 安衛令第20条第12号/安衛則第36条第9号 |
| 移動式クレーンの運転資格 | 1t未満 特別教育/1t以上5t未満 技能講習/5t以上 免許 | 安衛則第36条第16号/クレーン則第68条 |
| 架空線との離隔 | 特別高圧2m以上/高圧1.2m以上/低圧1.0m以上 | 土木工事安全施工技術指針 |
移動式クレーン:転倒防止と立入禁止
クレーン則第66条の2では、作業の方法、転倒を防止する方法、労働者の配置と指揮の系統を作業前に定め、関係労働者に周知します。第70条の3では、地盤が軟弱な場所や埋設物が損壊するおそれのある場所での作業を禁止します。例外は、必要な広さと強度の鉄板等を敷設した場合だけです。第70条の5ではアウトリガーやクローラを最大限に張り出すのが原則です。張り出せない状況で、荷重が張出し幅に応じた定格荷重を確実に下回る場合に限って例外になります。
第69条は過負荷の制限で、定格荷重を超える荷重をかけて使用してはなりません。第74条の2では、ハッカーやつりクランプ1個で玉掛けした荷、1箇所だけ玉掛けした荷、固定されていない複数の荷などをつり上げているとき、つり荷の下への立入りを禁止します。第74条の3では、強風で危険が予想されるときは作業を中止します。風速の数値は条文にはありません。
架空線・埋設物への近接と指針の数値
令和8年度のNo.30は埋設物・架空線に近接する工事の安全でした。国土交通省の土木工事安全施工技術指針では、架空線と接触のおそれがある場合に防護カバー、高さ制限装置、表示看板、ブームの旋回・立入禁止区域の設定を行います。電路からの離隔距離は、特別高圧(7,000V以上)が2m以上、高圧が1.2m以上、低圧(600V以下)が1.0m以上です。60,000V以上はさらに距離を加える定めがあるので、指針の表で確認してください。
同じ指針では、人と機械が共同で作業するときの誘導員の配置、登坂能力や安定度を超える走行の禁止、停車時に平坦地でバケットを下ろすことも挙げています。安衛則と指針は重なる部分が多いので、根拠がどちらかを意識して覚えてください。
この分野の勉強法と当サイトの使い方
建設機械の災害防止は、条文の主語(事業者・運転者・誘導者)と数値を対で覚えるのが近道です。e-Gov法令検索で安衛則第154条〜170条、クレーン則第66条の2〜78条を読み、上の表に数値を書き足してください。
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車両系建設機械の制限速度は毎時10kmですか?
違います。安衛則第156条は、最高速度が毎時10km以下の機械を除いて、地形や地質に応じた制限速度を事業者が定める規定です。一律の上限値は条文にありません。
誘導者を配置すれば立入禁止はしなくてよいのですか?
安衛則第158条では、運転中の機械と接触するおそれのある箇所への立入りを禁止するのが原則で、誘導者を配置して誘導させる場合はその限りではありません。誘導者を置くときは第159条により一定の合図を定めます。
移動式クレーンのアウトリガーは常に最大限に張り出すのですか?
クレーン則第70条の5の原則は最大限の張り出しです。例外は、最大限に張り出せない状況で、かつ荷重が張出し幅に応じた定格荷重を確実に下回ると見込まれる場合に限られます。