工程管理が応用能力で問われる形
工程管理は、安全管理のように条文の数値が並ぶ分野ではありません。その代わり、「工程管理とは何をすることか」「各工程表は何を表せて何を表せないか」といった概念の理解が、空欄(イ)〜(ニ)の語句の組合せや、記述の正誤判定で問われます。令和8年度の応用能力のテーマにも「工程管理の概念・工程表の種類・バーチャート」が含まれていました。
概念問題は、対になる言葉の取り違えで落としやすい分野です。「予定と実績」「全体と部分」「作業の順序と所要日数」など、どちらを指しているかを文脈で判断する練習が効きます。
工程管理の基本的な考え方
工程管理は、施工計画で立てた予定工程と、実際の進み具合(実績)を比べ、差があれば原因を調べて是正する、という繰り返しです。計画(Plan)→実施(Do)→確認(Check)→処置(Action)の流れで説明されることが多く、応用能力でもこの順序や各段階の内容が問われます。
現場では、工程の遅れだけでなく、進みすぎにも注意が必要です。先行しすぎると資材の手配や後工程との取り合いが崩れることがあり、工程管理では「予定どおりに進める」ことが目的になります。記述では「遅れだけを管理する」のように、片側だけに限定した表現が誤りとして作られることがあります。
工程表の種類:それぞれ何が見えて何が見えないか
| 工程表 | 横軸・縦軸 | 見えること | 見えにくいこと |
|---|---|---|---|
| バーチャート(横線式) | 縦に作業、横に日数 | 各作業の開始・終了時期 | 作業どうしの関連、全体の進捗率 |
| ガントチャート(横線式) | 縦に作業、横に達成度(%) | 各作業の進捗率 | 所要日数、作業の関連 |
| 曲線式(出来高累計曲線) | 横に日数、縦に出来高の累計 | 全体の進捗の傾向 | 個々の作業の内容 |
| ネットワーク式 | 作業を矢線や丸で結ぶ | 作業の順序関係、余裕日数 | 作成に手間がかかる |
バーチャートは作りやすく、各作業の時期がひと目でわかる反面、作業どうしの関連や、どの作業が遅れると全体が遅れるのかは読み取りにくい工程表です。ネットワーク式は作業の順序関係と余裕日数を表せますが、作成に手間がかかります。応用能力では、この「得意・不得意」を入れ替えた記述が作られやすいので、表の右2列を自分の言葉で言えるようにしておくと安定します。
工期の前提となる法令と基準
建設業法19条の5は、注文者も建設業者も、その建設工事の施工に通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない、と定めています。注文者側だけでなく、受注する建設業者側にも課された義務である点が、記述の正誤判定で効いてきます。
同法34条に基づき、中央建設業審議会が「工期に関する基準」を作成しています(令和2年7月20日決定、令和6年3月27日最終改定)。基準の第2章では、工期全般にわたって考慮すべき事項として、自然要因、休日・法定外労働時間、イベント、制約条件、契約方式、関係者との調整、行政への申請、労働・安全衛生、工期変更などが挙げられています。工程計画を立てるとき、作業日数だけでなくこれらの要因を織り込む、という考え方が問われます。
勉強の組み立て:概念は一次資料の言葉で
工程計画を立てる手順も、記述の正誤判定で問われます。全体工期の中で、準備期間や後片付けの期間、天候による作業不能日、休日を見込んだうえで、各作業に配分できる日数を決めます。そのうえで、作業の順序と並行できる作業を整理し、資材・機械・労務の手配と突き合わせて工程表にまとめます。「工程表を作ってから作業順序を考える」のように、手順を逆にした記述は誤りとして作られやすい表現です。
工程管理の概念は、民間の解説書ごとに言い回しが違うため、どの言葉が「正しい」かで迷いやすい分野です。工期に関する基準や公共工事標準請負契約約款など、国交省が公表している資料の言葉で押さえておくと、空欄の語句問題で迷いが減ります。工程表の種類は、上の表のように「見えること・見えにくいこと」を対にして覚えるのが近道です。
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バーチャートで作業の関連がわからない、というのは本当ですか?
バーチャートは各作業の開始・終了時期を横線で表す工程表で、作業どうしの順序関係や余裕日数は表現できません。関連を把握するにはネットワーク式工程表が使われます。
工期に関する基準は法律ですか?
法律ではなく、建設業法34条に基づいて中央建設業審議会が作成し、実施を勧告する基準です。ただし建設業法19条の5の「著しく短い工期の禁止」は法律の条文です。