この記事の目次(6項目)
1級技士補とは何か:法律上の位置づけ
技術検定は建設業法第27条にもとづき、第一次検定と第二次検定に分かれています。第一次検定は「施工技術の基礎となる知識及び能力」を、第二次検定は「技術上の管理及び指導監督に係る知識及び能力」を判定する試験です。合格した人は政令で定める称号を名乗れます(第27条第7項)。
その政令が建設業法施行令第40条です。第一次検定の合格者は級と検定種目を冠した「技士補」、第二次検定の合格者は「技士」と定められています。つまり1級土木の第一次検定に受かれば「1級土木施工管理技士補」です。学科試験と実地試験の時代には無かった称号で、令和3年度からの新しい技術検定制度でできました。
1級技士補にできること:監理技術者補佐
1級技士補の一番の使いどころは「監理技術者補佐」です。建設業法第26条第3項は、公共性のある重要な工事では監理技術者を現場に専任で置くよう求めています。ただし同項第2号で、監理技術者の職務を補佐する者を専任で置く場合は、監理技術者が専任でなくてもよいとされています。この例外は、兼任する現場の数が政令で定める数を超えると使えません(第26条第4項)。
この「補佐する者」の範囲を定めるのが施行令第29条です。建設業法第7条第2号イ・ロ・ハに該当する人のうち、国土交通大臣が定める要件に該当する人、とされています。第7条第2号のイ・ロ・ハは、指定学科卒業後3年または5年以上の実務経験、10年以上の実務経験、同等以上と大臣が認定した者、という主任技術者の要件です。ここに1級技士補が重なって、初めて監理技術者補佐になれます。
監理技術者が兼任できる現場の数は、施行令第30条で2とされています。会社から見ると、1人の監理技術者で2現場を回せる体制を作れるのが、1級技士補を持つ社員の価値です。
1級技士補にできないこと
技士補の称号は、それ自体で主任技術者や監理技術者の資格になるものではありません。監理技術者になるには第二次検定に合格して1級技士になる必要があります。主任技術者も、1級技士・2級技士の資格か、第7条第2号の実務経験要件のどちらかで満たすもので、技士補の称号だけでは足りません。
また、1級技士補であっても、主任技術者の要件(実務経験など)を満たしていなければ監理技術者補佐にはなれません。関東地方整備局の説明にも「一級技士補の資格を有するだけでは『監理技術者を補佐する資格を有する者』にはならない」と明記されています。若手が19歳で第一次検定に合格した時点では、まだ補佐には置けないのが普通です。
| 項目 | 1級技士補のみ | 1級技士補+主任技術者の要件 | 1級技士 |
|---|---|---|---|
| 法令上の根拠 | 法第27条第7項・令第40条 | 法第26条第3項第2号・令第29条 | 法第27条・令第40条 |
| 監理技術者補佐 | なれない | なれる | (監理技術者になれる) |
| 監理技術者の2現場兼任 | 関係なし | 補佐を専任で置けば可(令第30条) | 本人が監理技術者 |
| 経審の技術職員 | 技士補だけでは区分なし | 監理技術者補佐 4点 | 1級技術者 5点(監理技術者講習受講で6点) |
| 次の受検 | 第二次検定へ | 第二次検定へ(補佐1年以上の経験も受検要件の一つ) | ― |
経審では何点になるのか
経審の技術職員区分では、監理技術者補佐が4点として評価されます(有資格区分コード005)。ここで大事なのは「主任技術者の要件を満たす場合」という条件です。1級技士補の称号を持っているだけでは、この4点は付きません。1級技士は5点、監理技術者講習を受けた1級技士は6点、2級技士は2点です。
会社の総務や社長が「若手に第一次検定を受けさせれば経審が上がる」と考えるのは半分正しく、半分は早計です。その社員が主任技術者の要件を満たしているかを先に確認してください。当サイトの経審シミュレーター(/tools/keishin)は、この条件を分けて入力できるようにしています。
1級技士補から1級技士へ:第二次検定の受検資格
令和6年度からの新しい受検資格では、1級第一次検定の合格後に第二次検定を受けられる道が三つあります。実務経験5年以上、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上、監理技術者補佐としての実務経験1年以上、のいずれかです。特定実務経験は、請負金額4,500万円(建築一式は7,000万円)以上の工事で、監理技術者・主任技術者の指導の下か、自らその立場で行った経験です。
監理技術者補佐として1年働くと、第二次検定の受検要件を満たせる点は見落とされがちです。1級技士補を取って補佐に就き、1年後に第二次検定へ進む流れが、新制度で用意されたルートです。令和6〜10年度は旧受検資格も選べますが、区分が細かいので受検の手引で確認してください。
まず第一次検定に受かるために
1級第一次検定は受検年度末で19歳以上なら実務経験なしで受けられます。令和8年度は受検50,012人・合格24,927人で、49.8%の合格率でした(全国建設研修センター公表)。合格基準は70問中42問以上に加えて、午後の応用能力15問中9問以上という足切りがあります。
技士補の称号は、第一次検定に受かってはじめて手に入ります。当サイトの10問診断(登録不要)では、1級を選ぶと応用能力の足切りリスクを高・中・低で表示します。オリジナル問題で一次資料へのリンク付き、外部監修はありません。受検資格に迷う人は受検資格の判定ツール(/tools/eligibility)も使ってください。
1級技士補の称号に有効期限はありますか?
有効期限については、2026年10月14日時点で当サイトが確認した建設業法・施行令の条文に定めがありません。第二次検定の受検に際しての扱いは、受検の手引で確認してください。
1級技士補を名刺に書いてもよいですか?
建設業法第27条第7項と施行令第40条で、第一次検定の合格者は「1級土木施工管理技士補」の称号を称することができると定められています。称号のとおりに書く分には問題ありません。「技士」と書くのは誤りです。
監理技術者補佐と主任技術者はどちらが上ですか?
役割が違います。主任技術者は現場に置かなければならない技術者で、監理技術者補佐は専任の監理技術者の職務を補佐する人です。補佐になるには主任技術者の要件を満たしたうえで1級技士補であることが必要なので、補佐は主任技術者の要件を含んでいます。